宅建の出題はこの10年でどう変わったか:平成21〜29年度と直近10回を同じ物差しで比べる

宅建試験の分野ごとの問数(権利関係14問・法令上の制限8問・税・その他8問・宅建業法20問)は、平成21年度から令和7年度まで変わっていません(当サイトの数え方。公式の内訳ではありません)。この同じ配分の中で、平成21〜29年度の9回と直近10回(平成30年度〜令和7年度)を比べると、出題の中身は次のように動いていました。

  • 増えた:35条書面(重要事項説明)、37条書面、宅建士、広告、都市計画法の地域地区、国土利用計画法、契約不適合責任
  • 減った:8種制限の「総合」型、民法の横断の問、監督処分・罰則、都市計画の制限・事業
  • 宅建業法の個数問題は、9回で39問、10回で53問

ただし、増えた・減ったの中には、1問の中に論点が混ざる「総合」型の問の分け方の差が入っています。以下で、数え方と読み方を説明します。

なぜ平成21〜29年度と比べるのか

当サイトの宅建の出題論点ランキングでは、全40回と直近10回を比べました。ただ、全40回には、分野の問数が今と違った時期(平成20年度以前)が入っています。たとえば宅建業法は、平成20年度までは16問で、平成21年度から20問になりました。全40回と比べると、論点の増減に、分野の問数の変化がまざってしまいます。

そこで、この記事では、分野の問数が今と同じになった平成21年度以降を2つに分け、前の9回と直近10回を比べます。分野の問数がどの時期にどう変わったかは、宅建の問題番号と分野にまとめています。

この数字は、どうやって数えたのか

不動産適正取引推進機構が公開している宅建試験の問題(昭和63年度〜令和7年度の40回、2,000問)を、当サイトが1問ずつ読み、主な論点と副の論点に分けて数えました。分け方は当サイトの判断で、公式の分類ではありません。4回分200問を別の担当が読み直し、主な論点の一致は97.5%でした(食い違った問は直してから数えています)。

「主な論点」は、その問が全体として何を聞いているかで1つだけ決めたものです。「副の論点」は、1問の中に別の論点の肢が混ざっているときに、最大2つまで記録したものです。数えたのは問ごとの論点で、1問の中の4つの肢を1つずつ数えてはいません。

宅建業法や建築基準法には、1問の中にいくつもの規定の肢が混ざる「総合」型の問があります。総合型の問の中の論点は、主な論点の数には出てこないので、副の数もあわせて見ます。

前の期間は9回、直近は10回で、回数が1回違います。表は問数そのままで、本文で「10回あたり」と書くときは、9回の数を10回あたりに直した数です。直近10回は、令和2年度と令和3年度の10月・12月の試験をそれぞれ1回と数えています。

増えた論点

論点平成21〜29年度(9回)直近10回
35条書面(重要事項説明)19問29問
宅建士(登録・宅建士証)9問15問
37条書面12問18問
広告5問10問
都市計画法(地域地区)4問9問
国土利用計画法6問10問
契約不適合責任3問7問

いちばん大きく増えたのは35条書面で、10回あたりで約21問から29問になりました。直近10回では1回に2〜4問出ています。37条書面と宅建士も、10回あたりでそれぞれ約13問から18問、約10問から15問に増えています。

広告と国土利用計画法は、前の9回では主な論点として出ない回がありました(広告は4回、国土利用計画法は3回)。直近10回では、どちらも10回すべてで1問ずつ出ています。

契約不適合責任は、令和2年4月1日施行の民法の改正で、売主の責任のルールが「瑕疵担保責任」から改められた所です。前の9回の3問は改正前のルールで出た問です。

減った論点

論点平成21〜29年度(9回)直近10回
8種制限(総合)14問7問
民法(総合)9問3問
監督処分・罰則9問5問
事務所・案内所等6問2問
手付金等の保全措置7問4問
抵当権8問5問
都市計画法(都市計画制限・事業)4問0問
その他の法令(許可権者)3問0問

監督処分・罰則は、前の9回では毎回出ていましたが、直近10回では5回だけでした。8種制限(総合)も、前の9回は毎回、直近10回は6回です。都市計画の制限・事業と、その他の法令(許可権者)は、直近10回では主な論点として出ていません。

「総合」型の増減は、分類の差と取り違えやすい

8種制限(業者が自ら売主のときの8つの制限)は、8つをまとめて聞く総合型の問と、クーリング・オフや手付金等の保全措置だけを聞く問に分けて数えています。総合型が減ったのを見て「8種制限が出なくなった」と読むのは早すぎます。

8種制限の問平成21〜29年度(9回)直近10回
総合型14問7問
クーリング・オフ7問10問
手付金等の保全措置7問4問
その他の個別の制限2問0問
合計(主な論点)30問21問
副の論点として18問9問

クーリング・オフだけの問は増え、直近10回では毎回出ています。一方で、8種制限の合計は10回あたり約33問から21問に、副の論点(総合型などの中に混ざった8種制限の肢の問)も、前の9回の18問(10回あたり20問)から直近10回の9問に減っています。総合型の減少の一部はクーリング・オフ単独の問に移ったもので、残りは8種制限そのものの問が減ったもの、と読むのが数に合います。

民法(総合)も同じです。前の9回の9問は、いくつかの制度を横に並べて聞く問でした。直近10回では3問でした。一方で、前の9回で主な論点として0問だった配偶者居住権・不在者・失踪宣告・相殺・地上権が、直近10回ではそれぞれ2問ずつ出ています。建築基準法(総合)は、反対に15問から20問に増えました。直近10回は毎回2問とも総合型で、建蔽率・容積率や道路は、その中の肢として出ています。

宅建業法の個数問題は、いつから増えたか

宅建業法の個数問題(正しいもの・誤っているものがいくつあるかを答える形)は、前の9回で39問、直近10回で53問でした。10回あたりでは約43問から53問です。

ただ、回ごとに見ると、増え方は2つの期間の境目ではありません。平成21〜23年度は1回に1〜2問でしたが、平成24〜29年度は4〜8問になっていました。直近10回は3〜10問で、令和7年度の10問が最も多い数です。9回と10回の比べでは、平成24年度ごろに起きた増加が「前の期間の中」に埋もれています。個数問題の解き方は、宅建の個数問題の解き方で書いています。

法令上の制限では、前の9回にあった組合せの形(3問)と個数問題(2問)が、直近10回では0問でした。8問すべてが、正しいもの・誤っているものを1つ選ぶ形です。

毎回出る論点の顔ぶれ

主な論点として毎回出た論点は、前の9回で18、直近10回で21でした。

  • 直近10回で毎回になったもの:借地借家法(借地)・借地借家法(借家)・国土利用計画法・広告・クーリング・オフ・住宅瑕疵担保履行法
  • 前の9回では毎回だったが、直近10回では毎回でなくなったもの:8種制限(総合)・監督処分・罰則・営業保証金

住宅瑕疵担保履行法は、平成21年度だけ出ていない(資力確保の義務の規定が施行される前の回)ため、前の9回では毎回になっていません。借地と借家は、前の9回でも1回ずつ欠けただけです。営業保証金は、直近10回で1回だけ主な論点になかった回があります。2つの期間の両方で毎回出た論点は15あり、毎回出る論点の多くは共通です。

この数字の使い方

この記事の数は、過去の出題の事実です。「これから35条書面がさらに増える」といった予想には使えません。勉強の順番に使うなら、次の2つの事実を合わせて考えます。

  1. 宅建業法は50問中20問で、直近10回では35条書面・37条書面・宅建士・広告の4つで72問、宅建業法200問の36%でした。
  2. 総合型の問では、ほかの論点の肢として同じ知識が問われます。主な論点の数だけで「減った論点は後回し」と決めず、8種制限のように副の数と合わせて見ます。

数の多い論点は、1回解いて終わりにせず、間をあけて同じ論点にもう一度当たるようにします(復習の間隔の決め方)。宅建業法の論点ごとの数は宅建業法の出題傾向に、直近10回の表があります。論点を混ぜた○✕は、宅建の5分○✕ドリルで続けて解けます。

参考にした公式の情報(2026年10月確認)

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