相続の相談はどこに?各事務所のメリット・デメリットを元職員が徹底解説

この記事にたどり着いたあなたは以下のようなことを考えてはいないでしょうか?

読者A
読者A

相続の相談は弁護士?税理士?司法書士?行政書士?どこにすればいいのかわからない。

読者B
読者B

相続について調べたら色んな事務所や銀行が出てきて、参考にはなるけど結局自分たちのお客さんになるよう誘導されている気がする…

読者C
読者C

忖度のない情報が欲しいのになかなか思ったようなことが出てこないように感じる…

もし、あなたが上のうち1つでも当てはまるのであれば必ずあなたのお役に立てると思います。

先に結論から述べると、相続の案件というのは銀行、弁護士、税理士、司法書士、行政書士とみんなが取り合っているため、正確な情報がなかなか出回らないところがあります。

どこの事務所も結局は自分の事務所に来てもらうことが目的ですから、司法書士は「相続は司法書士に相談すべきだ!」銀行は「銀行に相談するといいよ!」といった形で情報を発信するわけです。

ですが、もしあなたにとって相応しくない事務所を選んでしまうと、手放さなくてよかった土地を手放さないといけなくなったり、必要以上に高額な報酬、相続税を払わされるという事態になりかねません。

私は相続を専門とする事務所にいる中で良い専門家も悪い専門家も見てきました。そして、事務所選びを失敗して、大きな損をしてしまう方の事例も実際に見聞きしてきました。

その経験を通じて、少しでも多くのお客さんが適切で良い事務所や専門家と出会えるように、質の悪い専門家に依頼しないよう情報をお伝えしていきます。

この記事では、士業事務所に勤めた経験を持つ私が客観的かつ第3者の立場で弁護士、税理士、司法書士、行政書士等の違いについて触れつつ、あなたがどこに依頼すべきか、もしくは依頼せず、自分で手続きを頑張る方がよいのかについて具体的にお伝えします。

この記事の結論
  • 銀行と葬儀会社、事業会社への相談はおすすめできない。
  • 時間に余裕があって、遺産総額が1000万円以内なら自分でやるのもあり。
  • 遺産が多くある場合は自分で手続きすると返って損をしてしまう場合がある。
  • 安くても質の悪い専門家に依頼すると大損していることに気づかないことがある。
  • 依頼するなら本当に優秀な専門家に相談することが何よりも重要。

目次

1.相続の相談はどこに?7つの機関早見表

まずは、相続の相談ができる7つの機関の特色を理解いただくために以下の図をご覧ください。

この記事の目的

どの相談先が優れているいると主張したいわけではなく、比較によって各士業事務所のことをより知っていただきたいと言う思いで記事を書いています。筆者自身の経験をもとにお客さんの立場で考えるとどうかという視点で書いているだけで、批評をすることが趣旨の記事ではない点をご理解ください。一方で、「専門家」という皮をかぶってお客さんにとって良くない手続きやサービスを提供している事務所はハッキリとダメだと伝えることを大切にしています。

2.相続の相談先はどこに?代表的な7つの特徴

まず始めに、相続の相談先として思い浮かぶ7つの場所について簡単に特徴を整理してみたいと思います。

ただ、士業の方々の評価という部分に関してはかなり個人差があります。今回は、どの士業の先生もかなり優秀であることを前提としてお伝えいたします。実際に相続の相談をすることを検討している方は参考にしてください。

2-1.相続の相談を市役所・区役所にする場合

費用
労力
節税、税申告
紛争解決
相続登記
市役所・区役所に聞いた場合の評価

ご覧いただいてお分かりの通り、何よりも費用がほとんどかかりません。登録免許税という税金や戸籍の請求費用、土地関係の証明書、通帳の記録などを取得する際にはお金がかかってしまいますが、せいぜい数万円程度です。

一方であなたにとって有益となる情報や具体的な手続きの流れまでは教えてもらえません。ですので、特に故人が残した資産が多い方や土地をお持ちの方にはお勧めできません。

費用がかからないからと軽はずみに手続きをしてしまうと使えたはずの制度を使っていなかったり、充分な生前対策ができていないばかりに費用を安くしたいはずが、かえって相続税を多く払ってしまい損をしてしまう事態になってしまうからです。

また、手続き代行のようなサービスは一切行ってもらえないため、基本的に全て自分で考えて進める必要があります。したがって、以下の要件に当てはまる方にはおすすめです。

こんな人は市役所へ相談
  • 時間にかなりの空きがある
  • 故人の遺産額が少額(250万円以下)
  • 複雑なことを調べ、書類を取得、作成する好奇心と活力がある

2-2.相続の相談を弁護士にする場合

費用
労力
節税、税申告
紛争解決
相続登記
弁護士への相続相談の評価

弁護士に相談する場合、料金相場は他の士業と比較して最も高額となります。パーセント報酬や様々なな料金体系がみられますが、結局どれも相場と比較するとかなり高いのが実情です。

相続と言えば法律問題だから弁護士かな?料金は高いけど、サービスは良いだろう!

と思う方も多いとは思うのですが、実際はそうでもありません。なぜなら相続を専門に扱っている弁護士はほとんどおらず、かなり希少だからです。

正直な話、弁護士であれば相続よりもっと利益効率が良い分野がたくさんあるので、わざわざ相続専門でやるメリットが薄いというのが本音ではあります。

実際に相続を主軸でやっているわけではないのでそもそも相続案件の実務経験が100件に満たないような弁護士が大多数を占めています。

そのため、料金相場はどこよりも高いのに二次相続のアドバイスや対策までは手が回らなかったり、サービスにギャップがあるということは比較的よくみられます。

ただし、そうと言っても弁護士にしか対応できない案件もあります。それが相続人同士が揉めてしまっているケースです。

紛争案件に関しては税理士や司法書士事務所では対応できないため、料金が高い弁護士に依頼するしかないということになります。

特に親族間で争いがないような場合は、税理士や司法書士に依頼する方が相続に関する専門性も高く料金相場も安いケースが多いというのが所感です。

こんな人は弁護士へ相談
  • 金銭的に余裕がある
  • 相続人間で争いが起きている
  • 故人が残している資産が多い
  • 故人の残した資産に不動産がある

2-3.相続の相談を税理士にする場合

費用
労力
節税、税申告
紛争解決
相続登記
税理士への相続相談の評価

税理士は、税金、税務のスペシャリストです。相続において税金が関係するには故人が一定以上の資産を残している必要があります。

相続人の人数にもよりますが、ざっくりと5000万円以上の資産がある場合は、税理士に相談されることをお勧めします。相続税の対策や二次相続の具体的な対策までできるのは士業の中でも税理士のみです。

また、相続税の申告と相続手続きのセット料金が適用される場合もあるので、そうすると他の士業に相談に行くより、できる業務の範囲も広いのに安くなるケースがあるからです。

一方で、司法書士のように不動産の登記はできません。ただし、相続を専門とする税理士であれば司法書士事務所と提携してしているか事務所内に司法書士がいる場合が大半ですので大きな問題にはならないです。

税理士に相談するのがおすすめな人
  • 故人の資産額が多い場合
  • 追徴課税されないか不安がある
  • 適切で充分な相続税対策を取りたい
  • 相続税額のシミュレーションをして欲しい

2-4.相続の相談を司法書士にする場合

費用
労力
節税、税申告
紛争解決
相続登記
司法書士への相続相談の評価

司法書士は、登記の専門家です。もしあなたや他の相続人が土地を相続する場合、必ず関わることになります。

また、相続放棄をする場合、その手続きについても司法書士が行います。相続放棄の申述は弁護士でも対応可能ですが、司法書士に依頼する方が安いです。

ただし、税理士のように税金のシミュレーションをしたり、紛争案件の解決も140万円以下のもの以外は一切行うことができません。

とはいえ、相続の専門家に依頼するにしては比較的手頃なお値段になります。相続税がかかるほど遺産はないけど、手続きは確実にしたいという方にはオススメの依頼先です。

司法書士に相続相談するのがおすすめな人
  • 故人の遺産額が1000万円から4000万円程度
  • 費用はそこそこに手続きは依頼したい
  • 相続放棄の申述がしたい
  • 土地を相続する場合

2-5.相続の相談を行政書士にする場合

費用
労力
節税、税申告
紛争解決
相続登記
行政書士への相続相談の評価

行政書士は、行政機関に提出する文書の作成を依頼人の代わりに実行するプロになります。戸籍の収集や家系図、遺言書、遺産分割協議書の作成などは行政書士が担当するケースが多いです。

多くの税理士事務所や司法書士事務所には行政書士も所属しています。行政書士は、税理士とは違い相続税の申告はできませんし、司法書士のように相続登記や相続放棄の手続きを行うこともできません。

ですので、言葉を選ばずに言えば下請けのような構図になっていることがまあまあ多いです。ですが、裏を返せば他の士業と協力しないとできないことが多いので、全ての分野の知識を幅広く備えている印象です。

登記のことも相続対策のことも色んな疑問がふわふわしている場合、交通整理として相談しに行くのはおすすめです。

行政書士に相続相談するのがおすすめな人
  • 遺言書や家族信託の相談
  • 費用をできるだけ抑えて相談したい
  • 相続に関する幅広い疑問・質問がある
  • 相続財産に土地がなく、遺産も3000万円以下で紛争がない

2-6.相続の相談を葬儀会社・法人にした場合

費用
労力
節税、税申告
紛争解決
相続登記
葬儀社への相続相談の評価

近年、よくみるのが葬儀会社やイオンライフなど葬儀・終活関係の会社に相続のアフターサポートを依頼するというケースです。葬儀でお世話になった会社にそのまま相続も任せられると一見楽そうではあります。

しかし、実際は葬儀会社や事業会社が直接的に相続の手続きをするという訳ではありません。葬儀会社はあくまでお客さんを士業事務所に紹介するだけ。そして紹介料を受け取ります。

紹介料は%報酬であることが多いため、葬儀会社からすると士業事務所が高い値段で受注できればそれだけ、高い報酬がもらえるということになります。

葬儀会社によっては料金表が別途用意されており、葬儀会社A料金表だと10万円、その事務所に直接依頼すれば8万円というようなケースも存在します。

士業事務所からしても葬儀会社からの案件がなくなると売上が立たなくなるため、内心「割高だなあ」と思っていても従うしかありません。

葬儀会社は相続の専門家ではなく、ビジネスとしてやっているので良い事務所かどうかよりも利益になるかどうかという点を重視しているところは否めません。

葬儀会社に相続相談するのがおすすめな人
  • 葬儀会社にお世話になったので、お礼したい気持ちが強い
  • 自分で調べたりするのが面倒でコスパは気にしない

2-7.相続の相談を信託銀行・銀行にした場合

費用
労力
節税、税申告
紛争解決
相続登記
銀行への相続相談の評価

あまり、詳細を書くと怒られるかもしれませんが、もし私が誰かに相続の相談をするのであれば銀行にだけは絶対に行きません。とにかくありえないぐらい高すぎます。

それでは、なぜそこまで高いのでしょうか。

銀行に相談し、仮に依頼したとしても銀行は相続手続きをしてくれる訳ではありません。それじゃあ、一体誰がするのか?

答えは、その銀行が提携している税理士や司法書士、行政書士がやる訳です。つまり、士業に支払う報酬額にプラスで銀行側に支払うコンサルティング費用が上乗せされます。

あくまで個人的な感想ですが、「このコンサルティング費用払う意味ありますかね…」というのが率直なところです。

さらに相続手続きも一部分しかやってもらえないプランなども多く、正直かなりややこしいことが多いです。

それだったら、最初から優秀な行政書士なり、税理士なりに相談している方が早くて安く済みます。士業は士業で司法書士と税理士事務所が提携していたりするので、わざわざ銀行にお願いするメリットは薄いように思います。

銀行・信託銀行に相続相談するのがおすすめな人
  • 資産数十億円ありお得意先の銀行のため様々な特典がついてくる
  • 基本的にはほとんどいないと思われる

3.相続の相談先を簡単に決めてはいけない3つの理由

ここまで、相続の相談先はどこにすべきかの概要についてお伝えしてきました。しかし、実際に一番重要なことはちゃんとした専門家や事務所に依頼するということです。

非常に残念なことに相続の専門家、士業といっても様々です。

少し前にビッグモータの不正請求、その他問題が明るみに出ましたが、「わからない相手に対して商売をする」という裏にはバレなきゃ利益のために多少のズルは厭わないという人がやはりいるわけです。

携帯電話を乗り換えない人、リボ払いを知らずに選択する人と同じように知らずに選ぶと損をしてしまうということが少なからずあるという1例になります。

ここでは、実際に起こった事例をもとに相続の相談先を安易に決めると危険な理由を3つご紹介いたします

3-1.過剰申告をされ土地を手放すことになってしまった…

”親が相続で農協に紹介されたからとここに頼みましたが、修正申告で他の税理士に計算してもらったところありえない額の過剰申告をしていました。

そのため相続税補填の為売らなくてもよかった土地を手放すハメになりました。

代表は農家出身で農協勤務経験により農家の地主の為の仕事すると謳っておりますが、実態は農協と癒着し金の為に矜恃を捨てた奴です。

尚多くの地主を自殺に追い込んだ大東建託とも癒着しイベントに出演していた事も発覚しております。そんな事この情報化社会の世の中で通用するとでも思っているのだろうか絶対に許せません。”

GoogleMAPより引用

税理士側の目線で考えると、これから来てくれるであろうお客さんに対して「うちで申告してもらえれば税務調査に入られないですよ」と主張できた方が都合が良い訳です。

税務署からしても実際の遺産よりも多く税金を支払ってくれるなら、特に税務調査をする必要なんてありませんよね。ですから、当然多めに申告すれば税務調査に来る可能性は下がるわけです。

つまり、税理士側と税務署側が得をしてお客さんだけが大損をするという選択肢を取られた結果、大事な土地を手放さなければならなくなったのが、このケースということです。

今回のケースでは依頼者がきちんと異変に気づけたのでよかったですが、これに気づけない人もたくさんいるというのが実情だと思います。

専門家に任せておけば安心と思うかもしれませんが、実際は安心して任せてもよい専門家と専門家の皮をかぶった危ない専門家もどきがいるという認識はしておいてください。

3-2.経験も知識もない人が相続相談の担当者になった…

実家の名義変更の件でご相談をした所、中途半端な知識しか無い様な人を担当につけられ、適当な話をされて違う専門家に相談をしたら全然違う話をされました。

この事務所は大した知識も無い人を専門家として適当な相談話をする事務所だと怖いと思いました。

GoogleMAPより引用

正直な話をすると、最近入社したばかりの人も案件を持つというケースはよくあります。ですが、お客様に知識不足を指摘されるというのは滅多にないことだと思います。

新入社員といえど、さすがにお客さんよりも知識は持っているので、余程ひどくないとこんなこと言われないだろうというのが率直な意見です。

できれば、相続手続きの相談はセカンドオピニオンを取ることをお勧めします。

3-3.連絡をしても返信が返ってこない

この司法書士が成年後見人の父親だった遺産相続に関する手続きを依頼するメールを送信しました返信メールなし。困った司法書士さんです。

初回連絡した際、翌日折り返しますと言われ、連絡なし。2日後問い合わせると、折り返し電話が10日後になるとのこと。全く迅速ではない。他事務所はすぐ連絡下さいます

メール連絡しても、返信なし。また電話しても全く繋がりません。

GoogleMAPより引用

人間だれしもミスはするものですが、相続税の申告や相続放棄など期限が決まっている手続きというものもあります。そんな中でいつまで経っても返信が返ってこないというのは凄く不安だと思います。

もし、相続税の申告が遅れれば追徴課税の対象に、相続放棄が遅れれば何千万、何億単位の債務の返済をしなければならない状況の方もいます。

手続きの質以前の問題として、お客さんにどれだけ安心感を与えるかも士業が提供できる価値です。そこを蔑ろにするところはやはり事務所のレベルも高くない印象があります。

4.相続の相談にかかる費用は?

結論から先に述べると大体どの事務所もホームページに記載されている値段より高くなります。「明確な料金体系」のような形でアピールしていますが、結局のところ基本料金だけで済む案件は少なく、オプション等で別途料金がかかってきます。

他にも「相続財産の〇〇パーセント」といった一見低そうに思えるけど、蓋を開けたら相場よりも高いみたいなことも少なくありません。ネット上では他にライバルがたくさんいるので、どの事務所もあなたに来てもらえるように少しでも他社より安く見せようと必死になっているのです。

ですので、ホームページの内容は安易に信用しないことをおすすめします。

では、実際はどういう点に注意して、相続の相談先を探し、どうやって費用を知れば良いのでしょうか?この章では、相続の費用を考える際の注意点と相談先7つの費用相場についてお伝えします。

4-1.相続の相談先7つの費用とは

相続手続きの費用というのは遺産や土地の数によってかなり変化してしまいます。今回は以下のような条件で見積もりを取った場合の各相場感についてお伝えできればと思います。

  • ・遺産7000万円(不動産4000万円、株式1000万円、現預金2000万円)
  • ・相続人2人(母、長男、争いはなし)
相談先相続手続き報酬相続税申告報酬
市役所・区役所0円0円
弁護士100万円以上提携先の税理士に別途見積もり
税理士20万円~40万円65万円
司法書士50万円提携先の税理士に別途見積もり
行政書士40万円提携先の税理士に別途見積もり
事業会社60万円~120万円提携先の税理士に別途見積もり
銀行・信託銀行200万円以上提携先の税理士に別途見積もり
相続手続きと相続税申告にかかる報酬

もちろん、事務所によって料金体系はバラバラですので一概に言えませんが、実際に見聞きした内容をもとに客観的に記載しています。1つの参考にしていただければと思います。

4−2.相続の相談先選びで損をしないために

一目して頂くとお分かりの通り、自分ですべて手続きすれば、かなりお安くなりますよね。

ただ、ここで注意いただきたいのは、自分で手続きをする際に使える制度や控除枠を十分に活用できず、結果として多くの相続税を納めてしまうということです。

自分で手続きを完了し、うまくできたと思っていても実は支払っている相続税が高くついており、総額では安くなっていないというケースは多くあると思います。

良い専門家であれば支払う相続税を安くするから、その浮いた金額から報酬を受け取るという形をきちんと取ってくれるので、能力が高い専門家に依頼するのが、現実的には一番お得になるケースがあります。

お客さん側から見た時にお得な方法を上から並べるとこんな感じです。

  1. 自分で制度や非課税枠、控除を完璧に活用し手続きから申告までやりきる
  2. 優秀な専門家に依頼し、報酬を支払う代わりに完璧に手続きしてもらう
  3. 自分で手続きは終わらせるが、制度等を使えているかわからない
  4. 質の悪い専門家に依頼し、報酬+高い相続税を支払う

とにかく、微妙な専門家に依頼することだけは避けて頂きたいと思います。

4-3.相続手続きの相談は費用を基準に選ぶと危険

「自分で相続の相談先を探すからには少しでも安いところがいい!」

当然そう思いますよね。

ですが、士業事務所側もそんなことは当然気づいています。安さを売りにすれば集客がしやすいので、ホームページ等では安く見せるためのあらゆる手法が横行しています。

ホームページを見て相談に行ったが、オプションをたくさんつけられ、相場より高い金額を提示されるようなこともあります。

さらに難しいのが、安いところに頼むのが良いとは限らないという点です。専門家に手続きを依頼するんだからどこがやっても同じだろうと思うかもしれませんが全く違います。

正直、表面的な手続き自体は1年未満の新人でもそれなりにできる部分はあります。

しかし、個別の案件ごとにお客さんにとって有利な制度や規定を当てはめてしっかり活用しきるためには多くの経験と知識が必要です。

もし、仮に知識や経験が不足している事務所に依頼してしまうと本来は相続税を支払わなくてもよかったのに支払う形になったり、相続登記したはいいけど抵当権が残ったままになってたり、結局あなたにとって物凄く都合が悪い結果になってしまいます。

報酬を支払って実力不足な専門家に依頼するくらいなら、面倒でややこしくて、相続税を必要以上に支払う可能性を考えてもご自身でやってしまった方がまだマシだと個人的には思います。

5.相続の相談先を選ぶ時に基準とするべき5つの視点

費用が安いところだけを基準にしてはダメなら、他にどんな点に注意して相談先を選べばよいのか。私が最低限のチェック項目として確認している事項を4点お伝えします。

5-1.相続案件専門の事務所かどうか

司法書士、税理士事務所といってもその事業内容は様々です。しかし、たとえ専門外でも目の前にお客さんがいれば「私こそ、相続に強い専門家です!」感満載で対応するのが、士業あるあるです。

あまり詳しくなくても、そこはプロとして振舞う。確かに大事なことかもしれませんが、専門外なら知り合いの詳しい専門家を紹介してくれるほうがよっぽど親切です。

このようなことを回避するためには最初から相続を専門とする事務所に相談するのが、わかりやすく手っ取り早いです。

5-2.相続案件取扱数と詳細

相続の案件は、担当となる専門家が主として進むわけですが、実際の事務手続きの多くは補助者と呼ばれる方が行っているケースが多いです。例外もありますが、1から10までその専門家がやるということは稀です。

となると、その事務所の平均レベルが高い必要があります。平均のレベルが高い事務所の基準としてはシンプルに自社でどれだけの案件を取り扱ったかという実績です。

年間の案件取り扱いがA事務所は10件、B事務所が100件だとしたら蓄積されるノウハウや知見も基本的にはB事務所の方が多く持っていると言えます。

また、言葉の意味として「相続取扱件数」と「相続税申告件数」という意味は大きく異なります。相続取扱件数というのは自社で手続きはせずに他の事務所に紹介しても取扱件数に含められます。

この辺、士業の事務所は自社にとって都合の良い表現を使ってきますので、ニュアンスに騙されず冷静に内情を見抜く力が求められます。

5-3.相談時の受け答え

残念なことに相続専門の事務所といっても、ほぼ新人や素人のような方が担当者として対応するようなケースも存在します。

とはいえ、全く知らないわけでもないため、お客さん側からすると担当者がちゃんとした知識を持っているのか見分けることは困難な場合が多いかと思います。余程ひどい場合は気づくこともあるでしょうが。中にはそれっぽいことをそれなりに言ってごまかすような方もいらっしゃいます。

経験がある方と経験がない方の一番の違いは、回答に責任を持つか、持たないかという点です。

実力がある方は質問に対して、単刀直入に答えてくれます。実力がない方は回答を濁します。「場合によります。」「確認して後ほどお伝えします。」といった具合に明確に答えられません。

士業として間違ったことを堂々と答えてしまうと大きな問題になるため、自信がない内容に回答してリスクを負うくらいなら、逃げ道のある回答をしたがるのが士業の習性になります。

もちろん、間違っているのに断言するのは言語道断なのですが、実力も実績もある専門家であれば的確な回答が返ってくる確率は間違いなく高いです。

実際に面談をされた際にはぜひ色々と質問をしてみてください。

5-4.公平で客観的な第3者の評判レビュー

グーグルの口コミを中心に第3者の客観的な目線は判断において必要不可欠です。口コミがない、少なすぎるところは当然ながらおすすめできません。

また、各事務所が取っている「お客様の声」や「アンケート」に公平性はありません。

悪い評価のものをわざわざホームページに載せるような事務所はありませんから、その事務所にとって都合の良いお客様の声だけが公開されています。

一見、口コミであれば自由に書き込めるので信用できると思うかもしれません。しかし、事務所によっては☆5と書いてくれそうな優しいお客さんにだけ口コミを書いてもらえませんか?とお願いしていたり、中には金券を配布している事務所もありました。

本当にレベルが高い事務所は確かに☆の平均値は高いですが、やはりお客さん側にも色んな人がいるのでどれだけ品質が高くても不満を抱く人は多少現れるのが自然です。

できるだけ具体的で、実体験が確認できるものを精査して判断する必要があります。当サイトでも、関係者の目から見て信ぴょう性がある口コミや評価のみを引用し、参考にしていただけるように元職員による視点も交えて公平にお伝えしています。

5-5.採用ページ

採用はその事務所や企業にとっての根幹です。どういう人物を採用しようとしているのかという視点からどんな専門家が在籍しているのか推察することが可能です。

当然スキルが高い人の方がたくさん在籍する事務所の方がお客様にとっては受け取る価値が大きいことは言うまでもありません。

加えて、やはり劣悪な環境ではお客さんに対して良い仕事はできません。

過度な残業等がある事務所などでは膨大なお客さんの案件を一人で処理する必要があるため、どうしても1件当たりにかけられる時間が少なくなってしまいます。

提示している待遇や条件面、労働環境というところも加味して「自分もそこで働きたいと思うか」という点は1つの指標にされることをお勧めします。

6.相続の相談内容別オススメの相談先

では、具体的にどのような状況の人は市役所で相談すべきなのでしょうか?税理士に依頼する基準はどこ?この章では実施債の相談事例をもとにどういう内容ならどこに行くのが良いかお伝えします。

ここでの事例はほんの一部の事例になります。実際はほとんどの事務所が、司法書士や弁護士とつながりを持っているため、相談を聞き必要であれば紹介するような形になっています。

必ずしもこの状況なら弁護士に、不動産があれば税理士に、というように固く考える必要はありませんが、とにかくよい専門家に相談することが大切だということはお伝えしたいです。

6−1相続の相談を市役所・区役所にすべき事例

依頼者の情報
・55歳自営業
・遺産:預貯金100万円ほど
・土地や不動産株式はない
・兄弟等はいなくて相続人は自身のみ

親が亡くなったことで、相続の手続きが必要だが、預貯金もそれほどなく事務所に依頼するとほとんど手残りがなくなってしまう。

土地や株式などもなく、自営業で平日に休みが取れるため、週に2日くらいは書類を作成したり自身で市役所や法務局に行く時間が作れる。自営で仕事してきたので、新しいことを学んだり自分でやってみることに抵抗感がなく、ストレスが溜まらない。

幸い知人に弁護士や司法書士もおり関係性も良好な為、手続きに行き詰ったら最悪聞く当てもある。

6−2相続の相談を弁護士にすべき事例

依頼者の情報
・50歳上場企業勤務
・遺産:土地・建物8000万円、株式3000万円、預貯金5000万円=合計1億6000万円
・相続人は、兄である依頼者とそりの合わない弟

病気の母の介護を5年間くらいやってきたが、好転することはなく76歳で亡くなった。母は亡くなった後にも迷惑をかけたくないと常々話しており、相続手続きが簡単になるように遺言を残していた。

母の遺言には依頼者に土地と建物の管理を任せるからという理由で預貯金の5000万円も含めて合計1億3000万円分を依頼者に相続されると記載があった。

弟はこれに猛反発し、その遺言は偽物で兄である依頼者が自作したものだと主張していて会話しようとしても冷静な話し合いにはならない。

6−3相続の相談を税理士にすべき事例

依頼者の情報
・76歳主婦
・遺産:土地・建物6000万円、預貯金3000万円
・相続人:依頼人と夫との子ども2人

依頼人は夫と2人暮らしだったが、病気の為先立たれた。幸い夫が残した遺産は大きく心配なく暮らせるものと思っていた。しかし、「相続税が高い」という話を聞き不安に。

どれくらい相続税がかかるのかわからない、もし相続税がかかるようであれば、可能な限り安くなるように手続きしたいと思っている。

自分で相続の手続き全てをやるのはちょっと難しそうだし、土地の値段が高いので土地の評価額を下げる方法がないか教えてほしい。

  • 1.1.相続税がかかるかどうか知りたい
  • 1.2.初めての相続税申告で手続きがわからない(忙しくて時間がない)
  • 1.3.相続税がかかるかわからない(かかりそう)
  • 1.4.相続税申告が必要になりそう
  • 1.5.相続税がかかるだろうとほぼわかっているが、納税額を安く押さえたい

6−4相続の相談を司法書士にすべき事例

依頼者の情報
・60歳会社員
・遺産:土地・建物3000万円、預貯金500万円
・相続人は依頼人と弟が一人

父が亡くなったのち、母も亡くなり相続手続きが必要となった。土地と建物があるが、兄弟の仲は良く話し合いでスムーズにきめられそうなので、登記ができる司法書士に依頼することに。

依頼人は、ずっと母の面倒を見ていたため、すべての財産は依頼人がもらうことで話がついた。弟は相続放棄の手続きをし、依頼人は譲り受けた不動産の登記申請を依頼することになった。

6−5相続の相談を行政書士にすべき事例

依頼者の情報
・65歳男性
・遺産:預貯金と株式あわせて3000万円
・相続人:依頼人のみ

お亡くなりになったお母様は、介護施設に入る際に実家の土地や建物は売却していたため、遺産に不動産はなく預貯金と株式だけがある状況。

しかし、どこの銀行にどれだけの財産があるのかはいまいちわからない状況のため、各銀行へ財産の調査が必要。

一方で不動産の登記や相続税の申告はする必要がないため、行政書士に相続の相談をすることに。

6−6相続の相談を葬儀会社・法人にすべき事例

葬儀会社に相続の相談をする方が良い事例は、私が知る限りありません。

6−7相続の相談を銀行にすべき事例

同じ内容になってしまいますが、やはり相続の相談を銀行にした方が良いという事例は私が知る限りだとありません。

先述したように銀行は、直接的に相続の手続きをするわけではなく、あくまで提携している士業事務所を紹介するだけです。

したがって、専門家に支払う報酬に加えて銀行に対してサポート料金を支払わないといけません。この料金が我々の感覚からすると以上に高いと思ってしまいます。

最初から、司法書士なり税理士に相続の相を談していれば、それだけで数十万円以上安くなることは間違いありません。

また、紹介を受ける相続の専門家も銀行側が紹介する人なので、銀行側にとって都合が良い人や仲が良い人が選ばれてしまいます。

何かよほど特別なメリットがなければ、わざわざ銀行や信託銀行に依頼する意味はないんじゃないかなというのがシンプルな本音です。

7.相続の相談先はご自身の状況を踏まえて慎重にご検討を

ここまでお伝えしてきたように相続の相談先を決めることは実は結構難しいことです。

たとえ、安い事務所を見つけたとしても、実力がないところに依頼してしまうと実際は大損していることもあります。気づければまだ良いですが、実際には気づけないことも往々にしてあります。

司法書士や税理士の担当分野ごとの違いもありますが、まずは能力が高い専門家をちゃんと見分けることが重要です。

もし、ご自身で探すのが難しいという方は毎月5名限定ではありますが、本当に優秀な専門家を無料で紹介しております。

私が課した厳しい基準に合格した全国でも上位有数の専門家に相談されたい方は以下のフォームに必要事項をご記入いただけますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です