この記事にたどり着いたあなたは下記のような疑問をお持ちではないでしょうか。
本当に弁護士に相続の依頼をしてもいいのかな?
ベンナビって実際どう?怪しい?デメリットは?
おすすめの使い方ってある?
この記事では、相続の事務所で実際に相続手続きをやっている著者が、ベンナビ相続はどうなのか事務所や企業の表では言えない本音も交えて、お客さん目線で徹底的に解説します。
・弁護士への依頼料は司法書士や税理士の2倍を超える場合も多い
・ベンナビ相続は、お客さんに誤解を与える内容も見られる
・相続専門の弁護士事務所は殆どなく、平均的な専門性は司法書士や税理士の方が高い
・弁護士事務所から掲載料をもらっていることで公平性がない記事も見られる
・司法書士や税理士ではどうしても対応できない場合にのみ利用するのがおすすめ
1.ベンナビ相続に対する良くない評判4選
ベンナビは、弁護士に依頼する必要がある人にとってはとても有意義なサービスですが、一方でデメリットもあります。その中でも特に注意すべき4つの点について解説します。
情報に公平性が担保されていない
相続専門の弁護士を探すことには不向き
掲載料ビジネスのため課金事務所が優先される
相続手続きは弁護士がやるのが良いという誤解を与える記事が非常に多い
1-1.相続専門の弁護士を探すことには不向き
ベンナビ相続に掲載されている弁護士事務所を確認すると、相続だけでなく、離婚問題、労働訴訟など複数のトラブルを担当している小さな事務所が数多くあることがわかります。
1つの分野を極めることすらかなり難しい法律の分野においては、いろんな案件に手を出している事務所よりも相続に集中してやっている事務所の方が専門性は明らかに高いです。
年間50件の手続きをやっている事務所よりも年間1000件やっている事務所の方が、相続に対する経験値や制度についての知識、税制への理解度は当然高くなります。
相続手続きは、非常に複雑で1パターンではないため、どれだけ多くの案件を実際に担当したかが重要となります。
ベンナビに掲載されている事務所のほとんどは小規模で相続専門の事務所ではないため、どうしても相続に携わった数でいうと専門の事務所に劣ってしまいます。
「経験豊富」や「〜に強い」というような表記があったとしても、実際に蓋を開ければ今までに100件も相続やったことありませんというパターンもよくあるため、注意して利用する必要があります。
1-2.相続手続きは弁護士がやるべきという誤解を与える記事が多い
ベンナビ相続の記事をみると相続の問題は弁護士に相談した方がいいという認識を与えるものが多くみられます。
正直な話をすると、弁護士は他の士業と比較すると驚くくらい報酬額が高いです。別の言い方をすれば弁護士のためにお客さんを集めてくれば弁護士さんから高額な対価を受け取ることができます。
それゆえに、お客さん側の利益を度外視したり、不安にさせてでも弁護士に相談してもらうということで儲かる仕組みがあるということです。
しかし、実際に相続に関わっている人間からすると、相続に限って言えば弁護士に相談した方が良いケースはそれほど多くはありません。正直にお伝えすると冷静に話し合いで解決できない様なケースだけです。
基本的に弁護士に依頼するべきでない理由としては大きく2点あります。
まず、1つは報酬面が高すぎること、2つ目は弁護士に相続の専門家はほとんどおらず、相続専業でやっている他の士業の方が平均的に専門性が高いからです。
相続問題は、相続人同士が揉めていなければ司法書士でも税理士でも場合によっては行政書士でも手続きができます。
そして、それらの士業に依頼した方が弁護士に依頼するよりも報酬相場はかなり安くなります。一番安い弁護士と平均的な司法書士事務所を比較しても2倍以上弁護士の方が高いです。
さらに、税理士や司法書士等は相続に専門特化している事務所が多く、大半の弁護士事務所よりも専門性という意味では高い場合が多いです。
相続人同士で話し合いもできないくらい争っている案件は弁護士にしか対応できませんが、それ以外の案件であれば弁護士に依頼するメリットは正直にいうとあまりないと思います。
にも関わらず、司法書士や税理士よりも弁護士に相談した方がメリットが多いと錯覚させるような記事が多く見られるため、相続手続きをしている事務所にいる人間からするとかなり偏向的な内容に見えてしまいます。
1-3.情報に公平性が担保されていない
- ベンナビに関わった事業者の記事ばかりが出てくる
- 相続に弁護士がかかわることのデメリットがきちんと記載されていない
ベンナビは様々な弁護士から掲載料を徴収することで運営しているポータルサイトになります。顧客は基本的に弁護士であるため、提供している情報もかなり弁護士に忖度した内容となっています。
さらに、ベンナビについて調べてみたところ様々な弁護士事務所の記事が出てきます。これらの事務所のほとんどが、ベンナビと提携しているか記事の監修をしている事業者となります。
これの何が問題かというと、ベンナビのデメリットや注意して利用すべき点がお客さんには非常に見えづらくなっているということです。
お客さんの目線で考えた場合、そのサービスについてよい部分や悪い部分が公平になるように情報が取れることが望ましいはずです。
相続に詳しい人間からすると弁護士に相続相談をするデメリットについてはあまり書かれておらず、大事な部分がぼやかされているような印象を受けます。
あくまで、弁護士事務所への相談件数を増やすことが目的のサイトなので、その点は利用者が理解をした上で使用する必要があるでしょう。
1-4.お客さんよりも課金事務所が優先される
上記は、ベンナビ相続のトップページの一部分になります。少しわかりずらいのですが、画面右側に小さく「並び順について」という記載があります。
本来、弁護士は公平性・社会的責任の高さから紹介料を払ったり、逆に紹介料をもらうことも法律で禁じられています。下記が根拠条文となります。
弁護士職務基本規程第13条
弁護士職務基本規定より引用
(依頼者紹介の対価)
第十三条 弁護士は、依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼その他の対価を支払ってはならない。
2 弁護士は、依頼者の紹介をしたことに対する謝礼その他の対価を受け取ってはならない。
そのため、ベンナビとしては法律の観点からあくまですべての弁護士を公平にPRする媒体で、特定の事業者にひいきせずに運営する必要があります。
とはいってもビジネス上の観点から、掲載料を支払っている事務所への相談件数を増やさなければ、掲載料をもらえなくなってしまいます。
仕組上、どうしても「お客さんにとってどうか」という目線よりも掲載料をしっかりと払ってくれる弁護士事務所への相談件数増加の方が優先順位が高くなってしまうことには留意する必要があります。
で、あればご自身でしっかりと税理士や司法書士事務所も含めて評判や口コミ、実際に相談に行った上で良い専門家に依頼する方が何十倍も安全で安心だと思います。
2.ベンナビ相続の良い評判3選
前述の通り、ベンナビ相続は注意して利用すべき点もありますが非常に便利な点もあります。以下、相続業界に携わる著者の観点も交えて3つ解説します。
近い地域の弁護士を簡単に探すことができる
弁護士ごとの違いや特徴がわかりやすい
初回面談が無料の弁護士もいる
2-1.自宅近くの弁護士を手軽に探すことができる
ベンナビ相続は、自分が住んでいる都道府県に事務所がある弁護士を一括で検索することができます。1つ1つ自分で近隣の弁護士事務所を調べていくのは非常に面倒だと思います。
それが、都道府県をクリックするだけでいくつもの事務所がズラッと出てきてくれるのはかなり手間を省くことができて便利だと思います。
すでに揉め事が起きていて、弁護士に相談するしかないという状況の方にとってはとても有意義で便利なサービスだと言えるでしょう。
2-2.弁護士ごとの違いや特徴がわかりやすい
弁護士事務所といっても得意な分野やどんな弁護士が在籍しているか、規模や事業年数などは全く異なります。
同じようなフォーマットで事務所ごとの違いを分かりやすく比較できるので、弁護士に相談することが確定している人にとってはどの弁護士に相談をするかを決めるのに使いやすいと思います。
2-3.初回相談無料の弁護士も探しやすい
多くの弁護士事務所は、初回相談も30分5500円くらいを相談料として求められます。ですので、取り敢えず、どんな方なのか、親身に相談に乗ってくれるか確認しようとしてもそれに料金がかかってしまいます。
その点、初回相談無料であれば一度相談に行って、欲しいアドバイスや頼れそうか安心して見極めることができるというメリットがあります。
相談料を取る事務所は、「お客様に合わせて丁寧なアドバイスを心がけているのでそれだけの価値がある!」と主張している場合が多いですが、正直有料でも微妙なこともあれば無料でも質が高い場合もよくあります。
ここは、どちらかというと経験値や専門性の問題で、自信がある事務所は無料にしているところもそれなりにあります。
そのような事務所を探しやすいという意味ではとても便利だと思います。
3.ベンナビ相続のおすすめの使い方!
ベンナビ相続は、弁護士を一括で検索するにはとても便利なサービスです。一方で、掲載料を多くもらっている事業者が優先されるため、お客さんにとってはどうしても公平性がない部分があります。
また、そもそも弁護士に相談しなくても解決できるような事例であれば、お客さんが弁護士事務所を選択した時点でかなりの損失となります。
場合によっては相続税の対策をするよりも弁護士費用を払わない方が財産を守れるケースもあるくらいです。
この章では、ベンナビ相続のデメリットを極力減らしながら効果的に利用する方法についてお伝えします。
弁護士と違い司法書士や税理士であれば無料相談を実施している事務所が多いです。相続専門の事務所であれば1時間程度の面談で、ご自身の状況を正確に理解してある程度は適切な解決法を教えてもらえるはずです。
以下に優良な相続手続き代行事務所の特徴や見つけ方をまとめましたので、あわせてご覧いただければ幸いです。
費用や報酬の観点を考えると弁護士に相談しなくても解決できる問題は税理士や司法書士に依頼する方が、かなり安くなります。もし、相続の専門家でも解決できないような紛争案件だった場合にのみ、ベンナビで弁護士を検索されるのがおすすめです。
ベンナビ相続の中にも無料相談を実施している事務所と相談料がかかる事務所があります。個人的には圧倒的に初回相談無料の事務所にいくことがおすすめです。初回相談無料の事務所は、知識や専門性があり、適切なアドバイスができないとタダ働きなので無報酬となってしまいますが、裏を返せばそれだけ自信があるから無料で相談をやっているわけです。有料よりもむしろ無料相談の方が質が高い場合もよくあるので著者はおすすめしています。
とはいえ、すべての事務所が素晴らしい訳ではありません。中にはお客さんからの評判が悪かったりする事務所もあります。そういう場合はできれば他の事務所に相談することも検討することをお勧めします。
3.良い評判からわかるベンナビ相続を利用すべき人
家族間で冷静に話し合いを行うことが難しい人
自宅から近い弁護士事務所をお手軽に探したい人
弁護士事務所を比較して無料で相談してみたい人
家族間で冷静に話し合いを行うことが難しい人
自宅から近い弁護士事務所をお手軽に探したい人
弁護士事務所を比較して無料で相談してみたい人
4.良くない評判からわかるベンナビ相続をお勧めできない人
以下に該当する人は、ベンナビ相続を使うことはお勧めしません。
相続手続きを安く済ませたい人
相続放棄したい人
相続税の申告が必要で相続人同士で話し合いができる人
年間で相続手続きを500件以上こなす実績のある事務所に相談したい方
4-1.相続手続きをできるだけ安く済ませたい方
弁護士へ相続手続きを依頼すると相場と比べて明らかに割高になってしまうことは既にお伝えした通りです。
相続の手続きや税の申告であれば司法書士や税理士の方が知識も経験面でも勝っていることが少なくないため、弁護士に依頼することはコストパフォーマンスが非常に悪い選択となってしまいます。
相続手続きをできるだけ安く質も高いところに依頼したいのであれば、相続手続きや相続税申告専門の税理士、司法書士事務所に依頼するのが業界的に一番コストパフォーマンスが高いことは間違いありません。
4-2.相続税の申告が必要で相続人同士で話し合いが出来る方
弁護士も申請をすれば相続税の申告はできますが、実際に業務として相続税の申告を何件もやっている弁護士はほとんどいないといっても過言ではありません。
相続税の申告が必要で家族間で冷静に話し合いができるのであれば、税理士に依頼する方が専門性も高く費用面でも割安です。
さらにお客さんに合わせて最適な節税方法や対策についてもわかりやすく説明してもらえます。仮に弁護士に相続税の申告を依頼したとしても相続税の対策や二次相続の対策については対応できません。
それらの理由から相続税の申告に関してはできれば相続専門の税理士に依頼することをお勧めしています。
4-3.年間で相続手続きを500件以上こなす実績のある事務所に相談したい方
弁護士で年間500件以上も相続手続きをやっている事務所はほとんどないのが実情です。しかし、司法書士や税理士事務所では500件以上の手続きを行っている事務所もちらほら見られます。
相続の案件はよくよく調べてみると複雑な案件だったということもあり、できればノウハウや過去の経験や実績が豊富な事務所に相談するのがおすすめです。
特に揉めていない相続の案件であれば、実績も豊富で値段も手ごろな司法書士や税理士事務所に相談されるのが適切でしょう。
4-4.相続放棄をしようとしている方
相続放棄の場合、依頼者は相続財産をもらえないため、手続き費用=丸々赤字ということになってしまいます。お客さんからすると手続きはできるだけ迅速に安く請け負ってもらうことが重要となってきます。
相続放棄は、弁護士か司法書士にしか代行してもらえません。しかし、その相場は大きく異なっており、やはり弁護士の方が平均よりも高い金額となっています。
ホームページ等を見る限りは安く見える弁護士事務所もありますが、「あなた様の事例ですと、上申書が必要となるので20万円かかります。」と言われたり、なんだかんだ高くなることもよくあります。
司法書士であれば5万円から10万円ほどで依頼できる場合が多いため、そちらの方が負担はないかと思います。
5.ベンナビ相続はデメリットも踏まえて賢く活用するのがお勧め
ベンナビ相続は、弁護士に依頼することが100%決まっているような人にとっては非常に有意義なサービスです。
しかし、相続手続きを弁護士に頼むと相場の2倍以上かかってしまうことも少ないため、不用意に依頼してしまうと相続税の対策をするよりも大きな金額がかかってしまうことも現実的に起こってしまいます。
さらに弁護士は一般的に紛争を解決するプロであって、相続や相続関連の制度や税制について専門的にかかわっていない人が多数のため、専門性という意味は税理士や司法書士の方が高いという場合も多いです。
もし、どこに相談するべきなのかわからないという方はこちらの記事もあわせて確認してみてください。